第3回リフレクティブSV勉強会

2023年05月13日

以下の通り、2023年4月23日に第3回リフレクティブSV勉強会が開催されました。今年度は2か月の1回の頻度で定期的に実施していきます。尚、開催はZoomを原則として、ただ年度内に1回は対面で実施できたらと思います。

■ 日時:2023年4月23日(日)10:00-12:00

■ 参加者:全9名
   2019年度修了者:2名
   2020年度修了者:3名 
   2021年度修了者:3名 
   2022年度修了者:1名

■ スケジュール
   10:00-10:30 自己紹介
   10:30-10:35 グランドルールの確認
   10:35-11:05 SV
   11:05-11:20 リフレクティブチームからのリフレクション①
   11:20-11:25 バイザー&バイジーの感想①
   11:25-11:35 SVの続き
   11:35-11:50 リフレクティブチームからのリフレクション②
   11:50-12:00 バイジー&バイザーの感想②

■ 実施記録

 今回は、9名の参加者で勉強会が行われました。過労や対人関係を契機に休職となり、その後、経済面など派生的に生じた複数の課題を抱えた事例でした。
 SVorは、SVeeがClをどのように見立て、考えながら介入しているかを様々な視点から切り込んでいましたRFTからのリフレクションでは、二者関係で生じていることに触れながら、特にSVorの介入によりSVeeによるCl理解が進んだ点や今後の展開に活用できそうなポイントについてコメントが寄せられました。SVeeによる感想では、「言語化が促進された」というコメントがあった一方で、言語化することへの抵抗のようなものも語られます。
 その後の続きのSVでは、冒頭のSVorの問いかけに対してSVeeがややアグレッシブな反応を見せるなど、ヒヤリとする展開もありました。しかし、その後は本ケースを行う上で、SVeeが置かれている立場における支援の限界とジレンマが語られ、その上で、臨床家として大切にしている"軸"や姿勢など、本質的な話しへと展開していきます。最後にSVeeが優先的に取り組む課題やアナロジ―的に活用できそうな手法を確認して終了となりました。
 続きのRFTからのフィードバックでは、SVeeがSVorに対して示した抵抗感は、ClがSVeeとのセッションで生じていることパラレルになっている可能性など、俯瞰的視点での振り返りがありました。SVeeの振り返りでは、SVee自身に生じていた抵抗の背景が語られ、SVorからは、SV時の心のゆらぎを振り返る中で、自身の臨床の軸を振り返る機会になったと話されました。

※ リフレクティブスーパービジョンとは
 産業領域SVネットでは、スーパーバイザーのトレーニングとして、リフレクティブ・スーパービジョン(以下RFSV)を行っています。RFSVは、スーパーバイザー(以下SVor)、スーパーバイジー(以下SVee)、リフレクションチーム(以下RFT)、進行役で構成されています。手順がやや複雑なので以下に説明します。
 はじめに、SVorとSVeeによるスーパービジョン(以下SV)が行われ、RFTがそれを観察します。30分のSVの後、RFTがSVの中で起きていることに着目し、今後に還元できるようなリフレクションを自由に話します。SVorとSVeeはそれを傍らでそっと聞き、このやりとりを踏まえた感想を述べた後、続きのSVを15分程度行います。区切りが付いたら、全員でSVの感想を言って終了します。

※ リフレクティブスーパービジョンの効果
 RFSVは、「他者の会話についての会話」をその場で聞くことにより、それぞれの立場で気づきが深まります。SVee役は、SVを通してClやケース全体の理解が促進されるだけでなく、カウンセラーとしての客観的な姿勢に気づかされます。また、SVor役は、リフレクションを通してCl、SVee、ケース全体の理解に加え、SVor自身の内省も促進され、さらにそれによってSVがさらに展開することを体感できます。また、直接的な当事者ではないRFTにとっては、Cl・SVee・SVorと自分自身を疑似的に行き来するような感覚で、俯瞰的な立場で観察と関与を繰り返します。ケース理解が深まり、自身の臨床の振り返りにも繋がります。